高齢フレイル患者の切除不能進行大腸癌に対しー次治療としてベバシズマブ併用トリフルリジン?チピラシル塩酸塩療法を行った1例

摘要

要旨:既存の標準治療に抵抗性となった切除不能進行大腸癌に対するベバシズマブ併用トリフルリジン?チピラシル塩酸塩(TFTD)療法の安全性と有用性が報告されているが,一次治療で高齢フレイル患者に使用した報告はない。症例は85歳,女性。X年1月中旬より食欲不振が出現し,多発遠隔転移と腹水を伴うS状結腸癌と診断された。全身状態の低下を認め,ECOG performance status(PS)4であった。人工肛門造設術後にTFTDを開始し,2コース目以降はベバシズマブ療法を併用し,外来で化学療法を継続した。9コース投与後に肝転移の増悪を認めたが,9か月間にわたって病勢コントロールが可能であった。現在はPS0まで改善し,ベバシズマブ併用H1FOLFOX6療法(80 dose)を投与中である。本治療法は高齢フレイル患者の切除不能進行大腸癌に対する一次治療として有用と思われた。