園芸施設の構造

摘要

ハウスを利用した施設園芸も畑地の栽培方式 のひとつです。日本の果樹、野菜等の栽培面積のうち施設園芸が占める割合は約2%(42,000 ha) とわずかですが、10a当たりの農業所得は露地 野菜に比べおおむね高い水準にあります。その ため、新規就農者の実に8割が何らかの形で施 設園芸を経営に取り入れています。現在ここま でに至つた施設園芸の変遷は実に今昔の感深い ものがあります。施設園芸の現状や最先端の取り組みについては ニュースや業界誌などで目に触れる機会が多いで しょうが、昔の施設園芸については案外目にする 機会が少ないと思われます。そこで本シリーズは、I.園芸施設の構造 n.園芸施設の設備 m.施設園芸作物の3回に分けて、昔の施設園芸を今と対比させ ながら紹介します。（施設園芸作物の品種の今 昔については園芸学の範疇とし、ここでは含み ません。）肩の凝らない息抜き記事として読んでいただ き、ここ100年ほどの変化のスピ一ドを感じとつ ていただけたら幸いです。特に、畑地やかんが い施設の整備は長期の見通しに立って計画、実 施される事業です。過去を知ったからといって未来を見通すことはできませんが、日本の昔と 今の施設園芸を概観することで、未来の畑地農 業の栽培の一方式に思いをはせていただくきつ かけになれば、これ以上の喜びはありません。