サブマージアーク溶接プロセスにおける溶込み形成現象の数値シミュレーション

摘要

溶接技術は材料と材料を溶かしてつなぐものづくりプロセスの中で欠かすことのできない材料加工プロセスの一つである．サブマージアーク溶接プロセスは，溶接線上に散布したフラックス中でアークプラズマを点弧させ，そのエネルギーにて母材，溶接ワイヤならびにフラックスを溶融させ溶接を行うプロセスである．ガスメタルアーク溶接と比較して，太径のワイヤならびに大電流が使用されることが多く，大人熱·高溶着量を得られるプロセスであることから，造船や建築鉄骨などといった大型構造物の溶接に使用され，さらなる高品質化が望まれているところである．サブマージアーク溶接プロセスにおいて，溶接線上に散布されたフラックスは溶融しスラグとなって溶接部を覆う．これらのフラックスやスラグは溶接部を大気から保護するだけでなく，溶融金属からの脱酸などといった溶接部特性の向上，またプロセス中の有害な光線やヒュームを遮断するなど作業環境の向上にも寄与している．一方で，これらが溶接部を覆っているがゆえにサブマージアーク溶接中の現象を直接観察することは困難を極め，その理解は十分になされていないのが現状である．