肺高血圧症

摘要

労作時息切れなど肺高血圧症(PH)が疑われる症例では,三尖弁逆流速度(TRV) を評価し, >2.8 m/秒であればほかのPHを示唆する所見を評価する.右室拡大,収縮期優位の心室中隔扁平化?左室圧排も典型的なPHで認められる 所見である.右室流出路血流のmid-systolic notchの出現もPHを示唆する.三尖弁逆流(TR)が乏しい場合や良好な血流波形が得られない場合には,肺動脈 弁逆流最大血流速度,右房拡大,右房圧上昇，肺動脈拡大，右心機能低下などの ほかの所見から総合的に判断する.肺高血圧症(pulmonary hypertension : PH) の確定診断にはカテーテル検査が必要であ り,心エコーは，スクリーニング検査として 位置づけられる.心エコーによるスクリーニ ングで最も重要なのは肺動脈圧の指標である 三尖弁逆流速度(tricuspid regurgitation velocity : TRV)であるが，それ以外に圧負荷 に伴う右室拡大や心室中隔の圧排などの所見 も重要となる(図1).