UNSCEARの2020年報告: 福島原発事故から10年、放射線の健康影響に関する科学的知見の総括

摘要

二〇二一年三月九日、原子放射線の影響に関する国連科学委員会（UNSCEAR: United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation）は、東京電力福島第一原子力発電所事故（以下、福島第一事故）から一〇年の節目に、同事故がもたらした放射線被ばくが直接の原因となる健康影響が見られる可能性は低いという主旨の国連報告書（UNSCEAR二〇二〇年報告書：以下、二〇二〇年報告）1を先行版（advance copy）として公開した。