現状の気候·エネルギー政策を考慮した，パリ協定国別貢献における国際競争力に関する分析

摘要

各国が提出したパリ協定の国別排出削減貢献（NDCs）の適切なレビューは，排出削減目標の実効性のために大変重要であると考えられる．その際に，現在施行されている気候·エネルギー政策とNDCsの観点から，排出削減による国際競争力への影響を分析した事例は少ない．本研究では，2020年以降の将来枠組み·目標に関して，現状の気候·エネルギー政策を考慮し，NDCsのもとでの，産業の国際競争力への影響を分析した．世界エネルギー経済モデルを用いて産業構造変化を踏まえた産業の国際競争力を分析した．NDCsの実施による産業のリーケージを評価し，大きな削減費用が推計される地域ではエネルギー多消費産業を中心に国際競争力が低下する可能性について分析を行った．