3.成人で診断されたWHIM症候群

摘要

症例は37歳男性。小児期より好中球減少を指摘されていたが確定診断に至らず,慢性好中球減少症として通院していた。成人以降は重篤な感染症の合併はなく,通院も稀であった。今回,肩関節膿瘍を発症し当科に入院した。末梢血では100?500/μlの好中球減少,また同時にリンパ球減少と低ガンマグロブリン血症を認めた。骨髄穿刺では,骨髄球系細胞の過形成と好中球の核分葉異常がみられた。先天性好中球減少症を疑い遺伝子検索を行ったところ,CYCR4のhetero変異が検出されWHIM症候群と診断した。本症例ではCSF3R のc.353G>A変異も認めたが病的意義は不明である。成人の好中球減少症の診断に際しても先天性好中球減少症の可能性を念頭に精査を行う必要があることが示唆された。なお,第25回小児MDS治療研究会において同様の発表を行った。