編集委員が選んだ: 気になる論文第38回ウィンドファームにおける地中ケーブル外皮雷過電圧シミュレーション

摘要

風力発電および大規模太陽光発電等の新エネルギー発電が普及拡大している。風力発電は独立した建築物で大規模太陽光発電は広大な敷地であることから落雷で損傷する危険性が高く，電力の安定供給のためには雷保護は重要な要素となる。風力発電の雷害として風車の羽根が直撃雷により損傷するケースが目につきやすいためよく知られているが，雷電流の一部がケーブルの銅遮蔽層に流れることにより銅遮蔽層が電流破壊する，あるいは風車の接地に雷電流が流れることにより接地電位が上昇し，接地されたケーブル端末が電圧破壊するといったケーブルの被害も多く報告されている。しかも落雷後にケーブルの劣化が始まりケーブル事故に至るまでタイムラグがあるため，落雷が発電設備の停止要因となるケーブル劣化の最初の原因であることを見落としがちになる難点がある。