19.総胆管ステント留置後,腫瘍浸潤により肝動脈胆管穿破をきたした末梢性T細胞リンパ腫

摘要

胆管ステント留置による肝動脈胆管穿破は,肝動脈壁の圧損傷,肝動脈仮性動脈瘤破裂，慢性的な胆道感染,悪性腫瘍の肝動脈浸潤などを主な成因とする。今回,腫瘍浸潤により肝動脈胆管穿破をきたした末梢性T細胞リンパ腫を経験したので，ここに報告する。症例は75歳男性。X-13年に骨髄異形成症候群と診断され,X-8年に発作性夜間血色素尿症を合併した。X年1月から汎血球減少が進行し，5月に全身リンパ節腫大と脾腫を認め緩徐増大傾向であった。7月に総胆管結石による急性胆管炎を発症し,内視鏡的に総胆管ステント留置を行った。翌月に肝障害と発熱を認め,ステント交換を行ったが発熱と解熱を繰り返した。11月14日に右季肋部痛と大量吐血をきたし,血管造影にて右肝動脈の動脈瘤と胆管の交通を認めた。肝動脈塞栓術にて止血を得たが血圧が維持できず永眠された。剖検にて胆管,肝臓に末梢性T細胞リンパ腫の浸潤が確認された。