砂防は走り続ける

摘要

令和元年の土砂災害発生件数は,集計を始めた昭和57年以降で4番目に多く平年の2倍程度の1,996件であった。このうち,10月中旬の東日本台風災害では東日本を中心に20都県に渡る土砂災害が発生し,1個の台風にょる災害として過去最多となる952件であった。東日本台風災害で特徴と言えるのは,平成29年九州北部豪雨,平成30年西日本豪雨に引き続き,東日本でも宮城県丸森町において土砂?洪水氾濫が発生したことであり,日本全国において同様の被害が発生する可能性を示唆したものと考えられる。一方,令和元年に噴火警報が発表された火山は国内の活火山の1割強にあたる14火山あり,また,6月には最大震度6弱の山形県沖地震が発生したものの,いずれも大きな土砂災害は発生しなかったのは幸いである。近年の土砂災害は,豪雨,火山噴火,地震に起因する災害が全国で頻発するなど油断できない状況が続いており,特に熊本地震,北海道胆振東部地震にょる大規模な災害が発生する等,降雨以外にょる土砂災害に対する警戒も必要である。