メチルt-ブチルエーテル（MTBE）の生分解

摘要

メチルt-ブチルエーテル（MTBE）は，1970年後半から米国で改質ガソリンの酸素添加剤として使用されている。 地下貯留タンクおよびパイプラインからの漏れにより，MTBEによる土壌，底泥，地下水などの汚染が多発し，かつ発癌性の可能性も指摘されたことから大きな問題となった。 1980年代には，米国の都市部で2番目に多く検出される地下水汚染物質となり，わが国においても地下水中から各地で検出されている。MTBEで汚染された地下水#12539;土壌の浄化に，微生物を活用するバイオレメディエーション技術の活用が期待されている。 これまでにMTBEを資化あるいは共役代謝により分解する各種の微生物が土壌中から分離され，MTBEの分解代謝経路，分解酵素および汚染現場の土壌や地下水を用いたマイクロコズム浄化実験，現場での処理実験が行なわれている。 これまでの研究報告をまとめるとともにバイオレメディエーションによる浄化の可能性について考察した。