発達支援の科学と工学－応用行動分析学による展開

摘要

乳幼児への包括的発達支援システムの構築とその効果の実証研究は喫緊の課題である。国際的な研究動向を見ても、個別的な研究は活発になされているが、開発研究、実証研究、応用研究、普及研究までを含んだ包括的な研究は数少ない。本講演では、心理学·応用行動分析学と工学との実質的な共同研究を進める上で基盤となる包括的発達支援プログラムについて、これまでの成果と今後の発展の可能性を提案する。わが国では、早期発見のためのアセスメントは実施されはじめているが、それが早期発達支援に直接つながらない現状がある。この問題を解決するために、これまで私たちの研究チームが開発し、進めてきた発達支援プログラムと実証研究を紹介する。発達支援カリキュラム、発達支援技法、発達支援エキスパート育成、ペアレントトレーニング、社会スキルズトレーニング、家庭訪問支援、コンサルテーション、遠隔地発達支援を社会技術として機能させることが目的である。モーションキャプチャによる運動、機能的空間、社会的相互作用の解析、多視点映像による視点取得、装着型デバイスによる反応検出、画像追跡技術による社会的行動と集団内行動の解析など工学研究よって得られたICTと私たちが構築してきた発達支援技術を統合し、ソーシャルイメージングという新たな領域への展開を討議する。