交通安全を目的とする車両－歩行者間通信(VPEC)を用いた状況判定アルゴリズム

摘要

次世代ITSを目指した技術の1つとして、歩行者（自転車などを含む）が携帯する簡易通信機器と、周辺を走行する車両の通信機器とが自動的に位置情報を交換する車両－歩行者間通信(VPEC: Vehicle-PEdestrian Communications)が注目されている。 VPECにおいて、車両が歩行者の位置情報を得ることにより、交通弱者である歩行者を車両事故から保護することができる。 VPEC環境では、歩行者が携帯する簡易通信系は、アクセス制御や電力消費などに関する大きな制約を受ける。 筆者らはVPEC実現のため、車載機器からのビーコン信号に対応して歩行者の携帯端末が送信を開始するリフレクト型伝送方式を提案してきた。従来のリフレクト型伝送方式では、車両が歩行者を追い越す場合、交差点などで車両と歩行者がお互いに交差する場合、建造物の陰から歩行者が飛び出してくる場合等において、その有効性が示されている。本稿では、より効率的な伝送を目指し、新たに状況判定アルゴリズムを用いたリフレクト型伝送方式を提案する。特に事故の多い交差点を横断する歩行者に着目し、実証実験により提案方式の有効性を検証する。