翻訳論文:弱いかみしめおよび歯間離開による脳賦活領域の研究: 磁気共鳴機能画像法（fMRI）による検討

摘要

【目的】この研究の目的は弱いかみしめと歯間離開による脳の賦活領域を,その違い中心に明らかにすることである。【方法】磁気共鳴機能画像（fMRI）を作成するためにエコープラナー法（EPI）およびT1強調によるMR画像を3Tの装置で撮像した。タスク1では垂直的な刺激として6名の健常ボランティアに10%および40%のかみしめを,タスク2では垂直的な刺激に水平的な刺激も加えるために,10名の健常ボランティアが真鎌製コンタクトゲージ装着後にかみ込みを行った。fMRIでその脳賦活領域を検討した.【結果】10%かみしめでは補足運動野，前頭連合野および小脳,40%かみしめではこれに加えてさらに一次感覚運動野と側頭連合野に活性がみられた。コンタクトゲージ装着後のかみ込みでは,タスク1による脳領域に加えて頭頂連合野,視床,海馬,被殻，島に活性がみられた。【結論】コンタクトゲージ装着後のかみ込みでは,大脳皮質感覚野に加えて視床’海馬，被殻,島などが賦活した。これは水平的な刺激による痛みの伝達経路（視床から大脳皮質感覚野）の一部を示すものと考えられた。fMRIはさまざまな口腔内刺激と脳賦活領域の関係を明らかにするために有用な情報を提供するものと考えられる。