硫黄の酸化還元サイクルを活性化した下水処理システム内の硫酸還元機能遺伝子の解析と定量

摘要

硫黄の酸化還元サイクルを活性化した下水処理システムの最適運転条件を評価し，より安定した技術に発展させるため，この処理システム内でBOD除去を担うキー微生物である硫酸還元菌種の特定を行った。 多様性の大きい硫酸還元菌を網羅するために硫酸還元機能遺伝子であるapsA遺伝子をバイオマーカーとしてクローン解析を行った結果，不完全酸化型の硫酸還元菌であるDesulfobulbaceaeやDesulfovibrionalesに属する細菌の存在が明らかになった。 また，Syntrophobacter属の細菌や，硫黄酸化細菌，更に新規なapsA遺伝子を持つ細菌が存在することも判明した。 Real-time PCR法を用いたapsA遺伝子の定量結果より，DesulfobulbaceaeやDesulfovibrionalesに属する細菌は，冬季の処理システム内で水素除去者として重要な役割を果たしていることが示唆された。