下限界応力拡大係数範囲△K_(th)の簡便な同定方法に関する一検討

摘要

一般に△K_(th)は材料定数と見なされており実験により同定される．疲労亀裂伝播試験方法のディフアクトスタンダードとして広く用いられるASTM-E647規格に従って△K_(th)を同定する場合，長時間の継続的な疲労亀裂伝播試験が要求される．一方，ASTM-E647の規定よりも△K_(th)同定に要する時間を短縮する手法が検討されWES1111に採用されたが，検討に用いられた実験データに限りがあったことや大幅な実験期間の短縮には至っていないことを考慮すれば，より簡便かつ実験に要する時間短縮についての検討は継続すべきであろう．本報告では，WES1111における検討で用いた実験データに加えて複数の疲労亀裂伝播試験のデータを整理するとともに，亀裂開閉口挙動を考慮した疲労亀裂伝播シミュレーションも援用することで，より簡便に△K_(th)値を同定する手法の検討結果を報告する．