科学技術を取り巻く社会的リスクと新しいプラツトフォーム

摘要

今日，科学とその応用としての技術のありようが問われている．近代科学の発展は自然法則の理解に大きく貢献し，その応用技術は多くの諸国民に物質的に豊かな社会をもたらした．真理の探究手段としての科学の意義には揺らぐところがない．個人によらず，客観性・反証可能性を義務付ける科学的アプローチは，現象の解明とその理解の共有に大きな貢献をもたらしてきた．しかし，科学の応用としての技術は人間社会や環境への影響を広範囲かつ長期的な観点から吟味し，適用されているとはいえない．自然科学を中心にして純粋科学はその目的を真理の探究に置き，人間社会への貢献を目的とするものではないとする立場をとる．