渋谷駅形成と渋谷川の作用について

摘要

渋谷駅は現在一日乗降者数約250万人を持つ日本有数の巨大ターミナル駅である。鉄道事業体4社と9路線の鉄道が渋谷駅に乗り入れているが，2022年現在の駅の形には時の積み重ねの中で形成されたものであり，1885年に開通した渋谷駅は現在に至るまで各路線が入り込む形態を発展させてきた。渋谷駅は渋谷川の流れを飲み込みながらそれらが複雑に絡まり現在の渋谷駅の形がある。筆者は渋谷駅の形成過程を7段階に分類して分析してきたが，その7段階において渋谷川がどのように作用してきたかについて本稿では書きたい。渋谷駅の駅の形の特徴は，新宿駅，池袋駅，東京駅，品川駅が台地や低地に立地していることと比較すれば明らかだが，谷地に立地している。そのため土地がなく,ホームを並行して発展させることができなかったために，立体的に上下に交差しながらその複雑な形を作っていった。