ガスシールドアーク溶接は,高能率かつ高品質な溶接法として産業界に広く普及している.しかし,シールドガスに窒素が混入すると,溶接金属の窒素量が増加し溶接品質が低下する.例えば,Ar-20%CO_2ガスを用いたGMA(Gas Metal Arc)溶接では,シールドガスに1%の窒素が混入すると溶接金属の窒素量が200~300ppm程度となり,ブローホールの発生や靭性の低下が問題になるとされる.溶接金属の窒素量は,シールドガスへの窒素の混入,溶融池の窒素吸収,凝固過程での溶融池からの窒素放出を経て決まるとされるが,特に,アーク溶接では高温のプラズマ内で窒素が解離されるため,レーザ溶接やレビテーション溶解のようにアークを用いずに溶融された金属に比べて窒素の吸収量が著しく増加するとされる.
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