電気エネルギー貯蔵システム（BESS）の安全性に関する国際規格

摘要

蓄電池のような電気化学的技術を用いた貯蔵装置をもつ電気エネルギー貯蔵システム（BESS: Battery Energy Storage System）は、日本の重要な政策課題である再生可能エネルギー利用拡大のボトルネックとなっている出力変動による調整力不足を補うものとして、その普及が期待されており、電力系統安定化のため、変電所等に設置される供給者側設置のものから、VPP（バーチャルパワープラント）のように需要家側設置のものまで幅広く活用する場の広がりを見せている。その一方で、世界中でBESSの普及が進む中、国際的に統一されたBESSの安全規格はこれまで未整備の状態であり、また、実際に人命に関わりかねない事故が世界各地で発生している。本稿では、2020（令和2）年4月に発行された、日本提案のBESSの安全性に関する世界初となる国際規格IEC 62933-5-2について、これまでの背景とともに紹介する。