にっぽん電化の歩み(2)大正の博覧会と街の中での電気展示

摘要

さて，都市と電化研究会の研究の中からトピックを取り上げる第二回の今回は，大正期（1912～1926）に電気が本格的な技術発展細時代を迎えて開花し，人々がその便利さや未来への展望を夢見た様子を紹介したい．電気という産業の歩みを振り返る上で，この大正期は世界でも日本でも極めて重要な，のちの発展の礎となった時期である．まず世界で見ると，電気の最先進国である米国で，電気のイノベーションのリーダーであったゼネラル·エレクトリックが家庭電化と産業電化の数々の新製品を開発し，米国各地でそのPRのためのエレクトリカルショーを開催した結果，世界で初めての家電ブームが起きたのがこの時期である．さらに電気利用技術では1913年のタングステン電球（ゼネラル·エレクトリック）によって家庭用照明分野での電気の優位が決定的となり，電球の価格低下が進んだ他，産業分野では工業用モーターの改良が進み，それまで産業の近代化を担ってきた蒸気機関から電気への動力シフトが進み始めたのも米国からであった．