鶏の卵殻色に関する研究（17) 了口ゥカナ交雜鶏の卵,部を用レ、たビリベノレジンのin vitro合成能にっレ、て

摘要

對馬らは，ァロウカナ交雑鶏およびポリス,ブラウン産卵鶏の卵殻線部における卵殻色素の,in vitro合成実験を行っている。この報告では，青緑色の卵殻色が特徴的なァロウカナ交雑種の産卵鶏，ならびに褐色卵を産むコマーシャル鶏のボリス'ブラウン産卵鶏を供試している。これらの産卵鶏の卵殻色の原因物質は，ビリベルジン（Biliverdin,以下，Bvと略記）ゃプロト ポルフィリンIX (Protoporphyrin K,以下，PPと略記）であることが，古典的な研究7'14)でも， 近年の研究でも明らかになっている13'2"'21)。これらの研究成果をふまえて，對馬ら2 2)は，ァロウ カナ交雑鶏およびポリス,ブラウン産卵鶏から卵管を摘出し，卵殻色素の合成,分泌部位である 卵殻腺部を対象に実験を行っている。具体的には，卵殻線部からホモジネート（粗酵素液）を 調製し，そこに基質となるデルタアミノレブリン酸溶液を加えてから，一定時間インキュベート (加温処理）を行ったのち，反応溶液中に卵殻色素であるBvやPPが生成されるか否かについて 検討した（in vitro 実験）（図1)。その結果，ァロウカナ交雑鶏およびボリス,ブラウン産卵鶏の 卵殻線部ホモジネートにおいて，PPの高いi" 合成能があることが確認された。しかし， ァロウカナ交雑鶏の卵殻線部ホモジネートから検出されると想定されたBvは，全く生成され なかった。この報告のなかで，對馬ら2 2)はァロウカナ交雑鶏の卵殻線部では，卵殻色素である Bvをデルタアミノレブリン酸から合成しているという可能性は極めて低いものと考えている。 すなわち，一般に鶏の卵殻線部では，in vitro 条件下でデルタアミノレブリン酸から合成される PPは，ヘムへと変換されないのではないかと考察している（図1)。それでは，Bvの前駆物質 であるヘムは，どのようにしてァロウカナ交雑鶏の卵殻腺部に供給されるのであろう力、日本ゥズラの卵殻線部を用いて，卵殻色素のPPやBvを定量的に調べたGorcheinら5>らは， 卵殻線部にもヘムが存在することを報告している。鶏と日本ゥズラの卵殻腺部の生理機能を同 等には論じられないが，この報告はァロウカナ交雑鶏の卵殻腺部にもヘムが存在し得る可能性 を示唆している。そこで，本研究では，ァロウカナ交雑種の産卵鶏の卵殻線部ホモジネートに， ヘムの錯体であるへミンを添加しィンキュベートすることにより，in vitro条件下でのBv合成 能の有無を確認することを目的とした。