内分泌調節に見る脳と身体の相互作用: 性ホルモンがおこす不思議

摘要

脳と身体を分けて考えることが許されるかは議論が尽きないところではあるが，生殖内分泌調節に話題を限ったばあいには，脳と性腺を二元論的に考えるのが実際的である．哺乳類の脳は性腺の分泌する性ホルモンによって雌雄分化を遂げ，性成熟後は脳が性ホルモンの分泌調節を介して生殖機能を調節する．雌雄の比較は生殖に関わる脳の働きの解明に絶好の課題を提供している．性ホルモンを介しておこる脳と性腺の相互作用にも性差があり，一連の性分化や性行動，あるいは内分泌調節の基盤は脳と性腺を別個に考えると理解しやすい．