薬学部卒の製薬会社出身者による非薬学部での創薬研究と教育

摘要

筆者は，製薬会社で研究職?薬事職に従事した後，薬学部の大学教員となった.現在は，工学系 学部でメデイシナルケミストリー（通称メドケム）をコアとじた創薬関連教育と研究を担当している.今年で企業(14年）とァカデミア（15年)双方で，ほぼ同じ年数を務したどころである.現職では企業時代の実体験をもとにした教育ができる喜びがある一方で，研究面では企業時代とは異なり同一組織内では研究が完結しない.現実的な創薬標的分子の設定にも難儀することが多 く，研究推進には共同研究が不可欠である.さらに企業時代のような成熟した研究者に囲まれてい るわけではなく，成長過程にある学生との協働になる.思うようにいかないこともあれば，予想外 の出来事に遭遇することもある.本稿では，今まで筆者か取り組んできた研究成果を紹介するとと もに，非薬学部における創薬関連教育についても言及したい.