Association of Gestational Age with Postpartum Hemorrhage : An International Cohort Study. Butwick, AJ., et al. Anesthesiology 2021 134 ? 874-86.

摘要

背景:絨毛膜羊膜炎や多胎妊娠などの分娩後出血の危険因子は，以前の疫学研究で特定されている。しかしながら,出産時の在胎週数と分娩後出血との関連を説明する既存のデータは矛盾している。本研究の目的は，出産時の在胎週数と分娩後出血との関連を評価することである。方法:著者らは,2014年から2017年の間にスウェーデンで,2011年から2015年の間にカリフォルニアで出産した女性の人口ベースの後ろ向きコホート研究を実施した。一次曝露は出産時の妊娠年齢である。主結果は分娩後出血であり,カリフォル二アでの出産では国際疾病分類第9改訂-臨床修正コードを,スウェーデンでの出産では1,000mlを超える出血を使用して分類した。著者らは,分析における潜在的な交絡因子として人口統計学的および産科的要因を考慮した。結果:スウェーデン（23,323/328,729 [7.1%]）とカリフォルニア（66,583/2,079,637 [3.2%]）の分娩後出血の発生率は同等ではなかった。スウェーデンとカリフォルニアでは,分娩後出血の発生率は妊娠41週から42週までの出産でもっとも高かった（それぞれ7,186/75,539[9.5%]と8,921/160,267[5.6%]）.37-38週の出産と比較して,41-42週の出産は,分娩後出血の調整オッズがもっとも高かった（スウェーデンでは1.62[95%信頼区間:1.56-1.69],カリフォルニアでは2.04[95%信頼区間:1.98-2.09]）。両方のコホートで，著者らは，在胎週数と分娩後出血リスクとの間に非線形（J字型）の関連性を観察し，39週が最下点であった。感度分析では，分娩後出血が国際疾患分類第10改訂-臨床修正コードによってのみ分類された場合,および異常な胎盤障害のある女性を除外したのち,帝王切開のみで同様の所見が観察された。結論:スウェーデンとカリフォルニアでの分娩後出血の発生率は同等ではなかった。産後出血の女性のリスクを評価する場合，臨床医は妊娠41週から42週の間に出産する女性の確率が高くなることに注意する必要がある。