曲率依存反射関数を用いた半透明物体における照度差ステレオ法の改善

摘要

本研究では，多重散乱が支配的な半透明物体における，表面下散乱現象を考慮した照度差ステレオ法の改善を提案する．照度差ステレオ法は，複数の照明条件下における物体の陰影情報から法線を推定する手法である．入射光が物体内で表面下散乱を繰り返す半透明物体においては，単純なランバート反射を仮定した解析では散乱による影響を考慮できていない．そこで我々は，半透明物体における表面下散乱現象の近似的なモデルである曲率依存反射関数を用いることで，高速に法線を推定する手法を提案する．まず，ランバート拡散反射を仮定して取得した初期法線情報から，物体表面における曲率を計算する，つぎに，計算された曲率の値に応じて反射関数を適用し，法線の再計算を行うことで，表面下散乱の影響を考慮した法線の推定を行う．