LOH症候群の疫学

摘要

令和元年の統計によると日本人男性の平均寿命は81歳を超えており,65歳以上の高齢者の占める割合は25.4%となった.すなわち男性の4人に1人は高齢者となっている.日本は世界トップの高齢化率であるとともに,現在もなお高齢者数は増加し続けている.厚生労働省の人口動態統計によると65歳以上の高齢者数は2042年にピークとなり,2055年には約40%に達すると予測されている. 高齢化が進む現在,「平均寿命」よりも「健康 寿命」が重視されるようになってきた.平均寿命とは,寝たきりや認知症など介護が必要な期間も含めた,生まれてから死亡するまでの期間を示す一方で,健康寿命は日常生活に支障なく健康的に過ごせる期間のことを示す.世界一の長寿国である日本は,平均寿命が長く健康寿命との差が大きい傾向にある.高齢化が進む現在においては,いかに健康寿命を延ばしていくかが重要な課題である.