小型球状蛋白質の高温での可逆的なオリゴマー(R0)形成およびアミロイド線維の抑制

摘要

蛋白質はアミノ酸が直鎖状に重合してできる生体高分子で，ポリペプチド鎖が折り畳まれて特定の立体構造を形成することで様々な生理活性を発揮する。このとき蛋白質が固有の立体構造を形成していれば天然(N;Native)状態，立体構造が崩壊すれば変性(D;Denatured)状態と呼ばれる。蛋白質の立体構造の安定性は，N状態とD状態のギブスェネルギー差(ΔG)で表されるが，その値は非常に小さい(ΔG=5～10 kJ mol-1程度)。1)すなわち蛋白質は，pH·温度?変性剤濃度などの影響を受けやすく，僅かな環境の変化によつて容易に変性してしまう。したがって本来の生理活性が維持される溶媒条件を検討するため，蛋白質の構造安定性が調べられてきた。