不安症の分類と診断

摘要

I. 不安症の分類 不安症（不安障害）はパニック障害,広場恐 怖,社会不安障害,強迫性障害,外傷後ストレス障害などの,不安を主症状とした疾患群の総称である。精神疾患の中でも有病率が高い部類に入り, またうつ病との併発も相当の割合で起こり,精神科診療,ひいては一般診療において 我々が高頻度で接する疾患であるといえよう。米国精神医学会の診断基準DSM-IVやDSM-5では不安症（不安障害）と呼称され, 国際疾病分類のICD-103）においては神経症性障害という呼称がほぼ不安症に該当する。不安障害の診断は,非器質性,心因性,特徴 的な類型的臨床症状, という3つの条件を満た すことによってなされる。成因は心因,準備状 ,態としての患者の性格, 取巻く環境の影響などによるが,精神分析や森田療法,行動療法など治療理論によって考え方が異なる。DSMなどの操作的診断では臨床症状によって類型診断がなされ, 成因の特定までは踏み込まれない。