CO_2ガスシールドアーク溶接法(以後,CO_2溶接法と称する)は鋼構造物の製作に広く用いられているが,溶着速度を上げて高能率化を図るためにはワイヤの太径化や溶接電流値の増加によって入熱量を増加させる必要がある.しかしながら,入熱量の増加は溶接金属部および熱影響部の機械的性質を劣化させるため,入熱量制限を行う必要がある.CO_2溶接法は,JIS Z 3312「軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ」解説表3に鋼材強度とワイヤの種類に応じて入熱量範囲が記載されている.入熱量の上限を制限することは溶着速度を制限することとほぼ同意であるため,入熱量を制限しつつ溶着速度を向上させることは難しい.ワイヤ中の合金元素濃度を増加することで入熱量の上限値を緩和し溶着速度を向上させる手法も検討されているが,コストの上昇やワイヤの硬化による送給性悪化などの懸念がある.
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