日本のモグサ製造に適したョモギおよび才才ョモギの国内自生系統の評価

摘要

【目的】日本の灸治療に用いられるモグサの国内生産量の低下に伴い、モグサ製造用ョ モギの安定供給に向けて、ョモギの栽培効率ゃモダサの生産性を向上させる必要がある と考えられる。そこで、国内生産に有用なョモギ系統を明らかにするため、全国各地よ り収集した国内自生系統の形態評価、および生葉から製造したモグサの品質を比較する ことにより、効率的栽培への適性に関わる形態と葉乾燥重、およびモグサ収得率を指標 として各系統を評価した。【対象と方法】国内127地点より採取したョモギArtemisia princepsおよび才才ョモギ Artemisia montanaの栽培個体を対象に、1.モグサ製造評価としてモグサ収得率、2.モ ダサ品質評価としてクロロフィル含有量および燃焼時の最高温度、3.ョモギ形態評価と して草姿に関わる形質、葉乾燥重、葉の背軸面の明度を調査した。各系統の形態および 性質について比較するため、統計処理として主成分分析に供した。【結果】品質評価の結果、多様なクロロフィル含有量および燃焼時の最高温度が示され、 国内系統においても幅広いモグサ品質を示すことが確認された。形態評価における主成 分分析の結果、22系統が葉面積が大きく収穫が容易で効率的栽培に適した系統であるこ とに加え、毛耷の量が多くモグサ収得率に優れ、全系統の葉乾燥重の基準値を上回る系 統として抽出された。これらの系統には、従来の採取地域以外に、これまで利用されて いなかった地域の系統が含まれることが確認された。今後、これらの系統を利用するこ とで、各地域におけるモグサ用ョモギの国内生産量の向上に繫がると考えられた。【結論】ョモギの国内自生系統における形態、葉乾燥重、およびモグサ製造後の品質評 価により、効率的栽培に適しており、葉乾燥重およびモグサ収得率に優れた灸利用に適 する国内自生系統が抽出された。そのうち、従来用いられてきた採取地域における系統以外に、新たな灸利用への可能性が期待できる系統が確認された。