毛様体腫瘍

摘要

毛様体腫瘍は日常診療で遭遇することは非常に稀な疾患である.自覚症状がみられ ないことは少なくないが,悪性腫瘍の場合急速に増大し,早急な治療が必要となることもある. そのため毛様体腫瘍が疑わしい場合には専門施設への速やかな紹介が望ましい.毛様体腫瘍の 画像診断にはUBM, ASOCT, Bモード,CT, MRI, PET-CT,123IMR-SPECTが用いられる が,いずれの画像診断を用いても組織型の特定は困難である.そのため臨床的には定期的な経 過観察と自覚症状の変化に重点を置き,急速な腫瘍の増大傾向や腫瘍による視力障害が顕著な 場合には治療介入を検討する.毛様体腫瘍の治療には眼球摘出術または経強膜的腫瘍切除術が 選択されることが多いが,術後の視力は不良となってしまう可能性もあり,治療に踏み切る際 には慎重な判断と十分なインフォー厶ドコンセントを必要とする.一方で早急な治療が不要で あれば,病院連携のもと保存的な経過観察とする.