羊水過多の病因?病態

摘要

羊水には,抗菌作用?衝撃吸収作用?肺や消化管の成熟?胎児の運動スペースの確保? 温度調節?分娩進行の補助など多岐にわたる役割があると考えられ,いうまでもなく妊 娠?分娩には必要不可欠である.羊水は絶えず入れ替わっていて,その量は厳密に調整さ れており,それらの調節機構が破綻することによって羊水量異常（羊水過多?過少）が起 こる.羊水量は妊娠経過を通じた増減も厳密にコントロールされており,妊娠初期から増加し はじめ，妊娠30～32週前後にピークを迎え,その後は徐々に減少してくる.したがっ て,通常でも多くなる妊娠30週頃にやや羊水が多めであっても,その後,減少してくる ような場合には正常胎児である可能性が十分に考えられ，一方で通常はあまり羊水が多く ない妊娠20週頃から羊水が多い場合には,胎児に何らかの異常がある可能性が十分に考 えられることを示唆する.