テストステロンと骨粗鬆症

摘要

骨粗鬆症とは,骨量（骨密度）が少なく,また, 骨質が劣化することで骨がもろくなり,骨折が起きやすい状態か,もしくは骨折がすでに起きている疾患のことであり,日本には約1,000万人以上の患者がいるといわれており,高齢化に伴ってその数は増加傾向にある（表1）. 男性の骨の健康状態の調査は女性の調査よりも進んでこなかったため，長らく不明な点が多かった.しかし最近になってようやく男性の骨粗鬆症にもさまざまな知見が報告され始めている. 男性の骨粗鬆症は,女性と比較して発症年齢が より高齢であること, また骨粗鬆症が原因の骨折は,女性と比較して高齢男性においてより高い罹患率および死亡率と関連していることなどである. 男性の骨粗鬆症の中で,LOH症候群は最も重要な危険因子の1つであり,この章でテストステロンと骨粗鬆症の関連について詳しく解説をする.