汚泥付着固定化材による曝気槽中での染色排水の窒素除去システム

摘要

本研究から，以下のことが確認された。 1）固定化材を曝気槽に設置した場合，すぐに活性汚泥が固定化材の膜表面に付着し，曝気槽からの流出SS分が大変減少した。 また，この付着菌体による膜内物質移動への影響は少なく，100日間の合成下水処理では，膜により分離された固定化材の内部と外部のTOCおよび窒素分に差がみられなかった。 2）汚泥付着固定化材の曝気部では，硝化菌等により盛んに酸素を消費するため固定化材内部は嫌気雰囲気となり，内部では脱窒菌により脱窒が起こった。このため，固定化材を曝気槽（活性汚泥槽）に設置するだけで有機物と窒素を同時に除去することができた。 3）固定化材による脱窒においては，排水の投入個所数および有機物濃度が窒素除去率に影響を及ぼした。 とくに，固定化材内部におけるC/N比が窒素除去には重要であることが判明した。 4）染色排水処理においても汚泥付着固定化材が有効であり，汚泥を返送しなくても滞留時間1.5日で，硝化率90％，脱窒率43％，TOC除去率71％の処理性能が確認された。