染色体導入技術とゲノ厶編集技術による ヒト化動物?疾患モデル細胞の作製

摘要

染色体導入技術はヒト染色体断片あるいは人工染色体を用いて，Mb単位の遠伝子あるいは複数の逮伝 子を任意の細胞に導入することができる技術である.一方，ゲノム編集技術は本特集?佐久間らの稿にあ るように，人工ヌクレア一ゼゃRNA誘導型ヌクレアーゼにより任意のゲノムを部位特異的に切断し，高 頻度に変異を挿入したり，相同組換えを誘導する技術である.ゲノム編集技術が開発されていない時代に おいて，染色体改変は相同組換え頻度の高いニヮトリDT40細胞やES細胞(胚性幹細胞）などを利用する しかなかつたが，ゲノム編集技術の発展により染色体レベルでの改変も任意の細胞で可能となってきた. 基本的には染色体導入技術は遗伝子を導入する技術であり，ゲノム編集技術は遺伝子を破壊(変換）する 技術であり，この2つの枝術はきわめて相性のよい"カップル''であるといえる.本稿では染色体導入技 術，染色体改変技術，人工染色体ベクターについて紹介し，ゲノム編集技術との融合による応用例を紹介 する.