肺癌 肺癌診療における最新のトピックス2023 ー肺癌領域での緩和医療における最新の話題ー

摘要

従来の薬物療法に加え,分子標的薬,そして免疫チェックポイント阻害薬の進歩など,肺癌治療および研究は急 速な進展をみせている。一方で,忘れてはならないのが種々の緩和的治療の進展であろう。本稿にも掲載されてい るが,Temelらによって肺癌治療早期からの緩和医療の介入は明らかに予後を改善することが示されて以来,そ の重要性に関する報告は枚挙に暇がない。外科治療,放射線治療，薬物療法，免疫療法に加え,もう一つの大きな 柱として重視すべきはこの緩和医療であるといってよい。今回のCurrent Organ Topicsは「肺癌領域での緩和医 療における最新の話題」にフォーカスを当てさせていただいた。まず,島根大学の津端由佳里先生には支持療法?緩和医療における最新の話題についてご寄稿をお願いし，概説 いただいた。緩和医療の対象は単に癌による症状の軽減のみならず,近年その重要性が髙まっている免疫チェック ポイント阻害薬におけるirAE対策といった,有害事象対策やメンタルケアの問題など多岐にわたる。これら多く の分野で新たなエビデンスが報告されている。なかでも重要性の高い,血球減少,消化器毒性，irAE,血栓症,癌 性疼痛の五つの項目について詳細にご報告をいただいた。