アルミニウム系スーパーメタルの基礎知識

摘要

アルミニウム系スーパーメタルは、アルミニウム合金の結晶粒径を3μm程度以下に微細化することにより、強度や耐食性を従来材料の1.5倍以上に向上させて、従来以上に広範囲の輸送機材、構造物などに使用できるようにすることを目的に開発された。 本稿では、アルミニウム系スーパーメタルの概要を解説する。 アルミニウム系スーパーメタルは、旧通商産業省の産業科学技術研究開発制度の一環として、金属系材料研究開発センター(JRCM)が新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け、1997年度から2001年度まで研究開発を実施した。 正式な名称は「アルミニウム系メゾスコピック組織材料創成技術」だが、本稿では単に「スーパーアルミ」と呼ぶ。 このスーパーアルミ開発の総事業費は約8.7 億円で、本プロジェクトには神戸製鋼所、スカイアルミニウム（現：古河スカイ）、住友軽金属工業、日本軽金属、古河電気工業（現：古河スカイ）、三菱アルミニウムの軽圧6社ならびに京都大学、大阪大学、九州大学、富山大学、宇都宮大学、千葉工業大学の6大学が参加し、産学協同で研究開発を進めた。