近年,第3世代携帯電話の爆発的な普及,モバイルコンピューティングの普及を支えるホットスポットエリアの拡大,ユビキタスネットワークに向けた近距離通信技術の実用化など,ニーズに応じた様々な無線通信システムが発展している.著者らは,周波数の有効利用をはかりつつ,ユーザが所望する通信容量·通信品質(QoS: Quality of Service)を高品位に提供することを目的として,複数の無線通信システムを適応的に集約,あるいは切り替える制御により端末に多様な通信経路を提供する「コグニティブ無線アクセスネットワーク」の実現に向けた研究を行っている.本稿では,コグニティブ無線アクセスネットワークにおいて効率よいQoS経路制御を実現する階層型QoS経路制御方式について説明し,その制御に必要となる通信路品質の定義について述べる.また,IEEE802.16およびIEEE802.11bの複数無線リンクから構成されるコグニティブ無線アクセスネットワーク実験装置を用いたスループット評価実験により,複数基地局を介する複数通信経路へのトラフィック配分に関する最適解と,それを決定する通信路品質の定義に関して検討を行った.
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