本稿では,水中センサのバッテリレス化·ワイヤレス化による柔軟な水中無線通信ネットワーク網構築のために,水中可視光給電通信システムについて検討を行っている.本システムは送信機にレーザーダイオード(Laser Diode:LD)を,受信機に光電変換効率の高い太陽電池を用いて,受信光信号から通信信号と電力を同時に取り出す.本稿では,受信信号を交流/直流(AC/DC)へと分離するためのフィルタ設計について基礎的検討を行っている.さらに,設計したAC/DC分離フィルタを用いた際の可視光ワイヤレス給電通信システムにおいて,変調方式としてオンオフキーイング方式(On off keying:OOK)を適用した際の誤り率性能,給電性能についてシミュレーション評価を行っている.結果として,フィルタを10kHzで設計した時には通信周波数.100kHZの通信性能及び給電性能が最も高くなった.また,フィルタを1kHzで設計した時には,通信周波数10kHz及び100kHzの両性能が向上し,中でも100kHzが最も高い性能を示した.以上の結果からOOK方式では実際の周波数成分は通信周波数よりも低く現れるため,十分に通信信号と電力を分離するにはフィルタ設計時の周波数を通信周波数よりも低く設計する必要があることが示されている.
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