第八話: 畜産におけるアニマルウェルフェアを考える

摘要

畜産における「アニマルウェルフェア（動物福祉）」については、2017年に国際獣疫事 務局（OIE)から提言された「世界動物福祉 戦略」が知られています。それは、動物の健 康、人間の幸福、社会経済の発展、環境の持 続可能性の追求を補完する形で動物福祉が尊 重され、発展する世界を目指すものとして策 定され、現在ではOIE規約となっています。この戦略の策定に際して参考とされたの が、英国の農用動物福祉審議会が1979年まで にまとめた「 5つの原則（five freedoms)」 です。それは、①飢え、渴き、栄養不良から の自由、②不快からの自由、③痛み、傷害、 病気からの自由、④正常な行動を示す自由、 ⑤恐怖と苦悶からの自由です。英国では1960 年代になつて畜産が急速に大規模化へと移行 した結果、経営優先のあまり集約的かつ工業 的になり、「アニマルマシーン」とまで言わ れるようになった畜産への反省から誕生した ものです。このように、アニマルゥエルフェ ァは英国を中心に欧州、そして世界へとその考え方が拡がり、OIE加盟国であるわが国の アニマルゥヱルフヱァの取り組みも、そうした経緯の中にあります。