無症候性細菌尿と尿路感染症の区別

摘要

ここまで本誌を読み進めることで読者の皆さんは尿路感染症をマスタ一しつつあると思 うが，結論からいうとそんな「尿路感染症マスタ一」でも無症候性細菌尿と真の尿路感染 症の区別をすることは容易ではない.特殊なセッティングを除けば，そもそも無症状の患 者の尿培養を採取することがないため，われわれは一般的に熱源精査の過程で無症候性細 菌尿かどうかを判断しなければならないからである.尿路感染症は除外診断であるため， 発熱患者が膿尿や細菌尿を呈していたとしても尿路感染症と安易に診断せず，ほかに熱源 がないか病歴?身体所見を元に検索し，場合によっては血液検査?画像検査を組み合わせ て診断することが大切である.このように無症候性細菌尿と尿路感染症の区別は一筋緙で はいかないが，本稿で無症候性細菌尿という概念について詳しく知り，その誤解をなくす ことで，少しでも区別しやすくなつていただくことを目標とする.