放射線アラカルト コロナ禍に目立った物理

摘要

コロナ禍で随分と生活が変わった。二〇二〇年に最も売れた製品ランキングが発表になっていたが、一位はマスク（やはり！）、二位は殺菌消毒剤（だろうね）、三位は体温計（なるほど）だった。三位の体温計であるが、今の若者は、「水銀の体温計」を知らないようだ。それは温度が上がると液体が膨張する性質を利用している。「水銀」を使用したのは、熱が伝わりやすく、温度による体積変化が「小さい」からだという。「大きい」の間違いではない。液体膨張率が大きいと、脇の下に挟んだ部分と反対側の先端部分の液体温度の僅かな差が、挟み方によって大きな差になるので、むしろ「小さい」方が正確になるという。その僅かな違いを大きく見せるために、細い管に入っているのだ。もちろん水銀は有害なので、お手元にあったら、気をつけて欲しい（環境省が回収している）。