流域レベルでの水田の窒素除去量評価に関する研究

摘要

灌漑用水中の窒素濃度が高いと，水田の脱窒作用により大幅に濃度の低下が起こる。関東農政局は，試験田で窒素除去速度を測定した。 その値を用い，水質タンクモデルから各ブロックの流出窒素濃度と水量を求め，観測点で実測値と比較した。 流域には丹野池があり，池からの流出量は，池水位から求めた貯水量と，タンクモデルで計算した池への流入水量との差し引きから計算した。 丹野池自身の水質は精度良く計算できた。 1週1回の測定から求めた池貯水量は，誤差が大きくなるので，観測点の水質・水量ともに精度良く計算できなかったが，傾向は一致した。 この結果から，ここに示した評価方法は妥当性があり，モデルで使用した窒素除去速度の妥当性も評価された。それにより，何割が水田で除去されるかと言う定量的な評価が可能になった。本流域の茶園に対する水田率は20％で，灌漑期に38％，年平均で13％もの窒素を削減し，水田の窒素除去能力の高さがあらためて示された。