公衆の放射線防護の一章

摘要

科学技術の進展に伴う健康影響はまず職業人に現れ、その後公衆に現れることが多い。放射線もその一つである。レントゲンによるエックス線の発見と引き続く利用の増大に伴い、医師や技師に放射線障害が見られるようになり、各国で放射線防護への関心が高まり、ICRPの誕生に至った。ただし、その後放射線防護は様変わりする。「原子力」利用の進展である。線源が多様化し、結果的に被ばくが多様化し、職業人のみならず一般公衆も被ばくする可能性が高くなり、放射線防護もその点に配慮する必要が生じた。職業人と公衆を考えた時、前者は成人であり後者には生物学的には胎児を含む子どもが含まれることに気づく。