表情筋の能動·受動特性のin vivo物性同定システム

摘要

人間の表情は，座屈しわ，加齢に伴って発生する永久しわ等を含む複雑な皮膚の変形により顔表面に現れる.その表情パターンは様々な感情を表すことから，心理学的なアプローチにより表情が表す人間の心理を分析，研究することが多い.この心理学的側面以外に，人間が創り出す表情をコミュニケーションの手段として捉え，ニューラルネットワーク等を用いて皮膚変形の結果生じる表情パターンの認識，分析研究が情報工学的な問題として盛んに行われている．これらに対して，蔦らは顔面の皮膚－軟組織系の表情変形の問題を，連続体力学に立脚した超弾性有限変形問題として捉え，これを有限要素法に適用し解析するとともに，座屈による表情しわの生成メカニズムやクリープ変形をともなう永久しわ生成機構，皮膚－軟組織系の力学物性同定等－連の研究を行っている．