クラスター解析を用いた周産期乳牛の疾病リスク評価

摘要

乳牛における周産期疾病の発生は、生乳生 産と繁殖成績を低下させることから経済的な 損失が非常に大きく、その発生を最小限に抑 えることが重要である。個体ごとの周産期疾病 の発生リスクを予測できれば、高リスク牛に対 する綿密な管理により疾病の予防が可能とな るため、酪農業にとって大きな価値がある。血 液生化学値と周産期疾病の発生リスクとの関 連を示した過去の報告の多くは、単一の血液成分値を用いて、第4胃変位や子宮内膜炎な どの特定の周産期疾病の発生リスクを評価し ている。しかし、周産期疾病の発症にはさまざ まな要因が影響し、それぞれの疾病が互いに 関連性を持つことが報告されている（Katoh. 2002)。そのため本研究では、クラスタ一解析 の手法を用い、複数の血液成分を多変量的に 解析することで周産期疾病の総合的な発症リ スクの評価を試みた。また、クラスター解析の 結果をもとに、より少ない検査項目での疾病リス ク評価に適した判別式を検討した。