VICS(Vehicle Information and Communication System)など既存の交通情報システムでは,テキストや図形を用いた渋滞状況の提示が一般的である.しかし,既存システムでは,渋滞度合いを数段階でしか区別できず,ドライバが,これらの情報から,実環境で生じる様々な渋滞度合いを正しく把握することは難しい.本稿では,ドライバに対し,より直接的に渋滞状況を提供するため,スマートフォンを用いたユーザ参加型センシングにより,渋滞地点の状況を動画で撮影し,それを収集,配信するためのシステムを提案する.動画データの送受信により3G回線の帯域を大きく消費するため,帯域制約を考慮したうえで,ドライバに対し可能な限り適切な動画を配信する必要がある.提案方式では,動画が示す渋滞度合いと,現時点での渋滞度合いとの違いや,動画の視聴要求送信から,動画が受信されるまでの経過時間などをもとに,ドライバが渋滞動画を見た際のメリットを効用関数として定義し,帯域制約のもとで,効用関数値を最大化することで,各車両に対し効率のよい動画の収集と配信を行う.
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