重量床衝撃音対策に影響する設計条件

摘要

このように，重量床衝撃音遮断性能はスラブ厚等の構造的な要因のみではなく，居室の配置にも大きく影響するため，重量床衝撃音対策においては意匠設計，構造設計を包括した総合的な検討が必要である。また，重量床衝撃音遮断能への影響が大きいスラブに関しては，施工誤差やコンクリート物性の影響で性能が変化するため，実スラブが設計性能を発揮できるようにするためには，設計条件との乖離が生じないように施工することも重要な要因である。また，スラブ中央に大梁等を追加して拘束条件を強化した場合やスラブを厚くしてスラブ剛性を上げた場合には，構造的には安全側になる設計であったとしても，スラブの固有振動数が63Hz帯域に近づくことで重量床衝撃音遮断性能が低下する場合がある。このように，構造的に安全側になるような設計条件でも遮音性能上は危険側の設計条件になる場合があることには注意が必要である。