インタードメインにおけるBGP経路障害は,ユーザの通信品質劣化やインターネット到達性の低下を招く原因となる.これに対し,オペレータがその障害箇所·原因を特定し,適切な運用手順により,経路障害を復旧·回避する手法は重要である.しかしながら,インターネットの大規模性やルーティングポリシーの複雑性により,膨大な数のBGP経路更新メッセージの詳細解析によるBGP経路障害の原因特定は困難である.これに対し,筆者らは,複数地点で計測したBGP経路更新メッセージと経路表(RIB: Route Information Base)に基づいて,経路障害時のBGPメッセージの広報·伝播パターンをシミュレーション計算し,実測データとの類似性を定量的に評価することにより,経路障害箇所を推定する手法を考案した.本稿では推定手順の概要と,その有用性を評価した実験結果について述べる.
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